中・高・大学と、様々な年代の野球に取り組む学生に熱心な指導を行ってきた石橋監督。多くの子供たちに向き合う中で、一筋縄では行かない生徒もいた。
ー やはり、高校生という多感な時期。生徒さんへの指導は難しいですか?
石橋:難しいですね。でも、少しわんぱくな子の方がメンタルは強いです。スポーツにおいては、真面目なだけでは勝てないですよ。甲子園にいくような学校というのは、野球が好きなだけではなくて勝負が好きな選手が多いんです。誠桜野球部は良い子が多い反面、メンタルが強い子はまだ少ないかなと。「勝つ雰囲気」を作るためにも、みんなには「勝負師」になって欲しいと思ってます。
ー ”勝負師”とは具体的にはどう言った意味でしょうか?
石橋:「際」に強くなるということです。例えば、「球際」とかですね。追い込まれた時って人の本性が出るじゃないですか。そこで起死回生の行動をするとか、あえて冷静にやれるかっていうのが「勝負師」だと思いますね。
他に大切だと思うのは、腹を括るということですね。選手に対してよく言うのは、「うまくやろうとしているから緊張しているんでしょ?失敗してもいい。失敗したら変えてあげるから。だから思い切ってやれよ」って言っています。ピッチャーにしても、「怯えて投げてフォアボールを出すな、思い切って投げてのフォアボールなら大丈夫だから思い切って腕を振れ」と伝えてますね。
取材日は7日4日。盛岡誠桜の試合の日まで10日を切っている中、グラウンドには厳しい指導の声はもちろん、時には笑い声も響いていた。
ー 今日取材に来るまではもっとピリピリとした雰囲気の中で練習されていると思っていました。
石橋:やっぱり笑いもないとやっていけないですね。ピリピリしながらやるだけだと選手もくたびれると思いますし、指導者としてもおかしくなってしまいます。メリハリは絶対必要だと思いますね。くだらない話だとしても、選手とはコミュニケーションをとっています。
コミュニケーションを大切にする石橋監督が、「怠惰マン」と呼ぶ1人の選手がいた。2年生の関谷颯太選手だ。現在の雰囲気や、チームについてお話を伺った。
ー なぜ怠惰マンと呼ばれているんですか?
関谷:守備とか整備のときの行動が遅い部分があって、たまに怠惰マンと呼ばれています(笑)「日常生活でそのような行動をしていると、試合にも影響するぞ」とよく言われているので、改善して頑張っていきたいです。
ー 石橋監督はどんな監督ですか?
関谷:とても面白い監督です。厳しいところもあるんですけど、そんな状況でも笑いに変えてくれるので練習してて楽しいなと思います。
ー 春に比べて厳しい声も飛び交っていますね
関谷:今年の春や去年の秋は、厳しい言葉を言われるとすぐに落ち込んでしまう日が多かったです。でも、今は良い意味で歯向かうことができてるというか、意見が言えるようになってきました。チーム状況的に良い雰囲気になっているのかなと思います。
ー 今大会の目標を教えてください
関谷:個人的な目標としては、1戦1戦集中してチームを勝たせるプレーをしていきたいと思います。勝ち進んでいって、春に負けた花巻東ともう一度戦いたいです。
ー 夏が終わると最上級生となりますが気持ちは
関谷:自分が最上級生になったら、後輩に付いてきてもらわなければいけないので、下に舐められないというか、いい意味でチームを引っ張って勝てるチームにして行けたらいいなと思います。
春から盛岡誠桜高校に入学し、1年生ながらもチームに貢献する藤田さんにも話を聞いた。
ー 大会直前のチームの雰囲気はどうですか
藤田:春の大会で花巻東にサヨナラ負けしてしまったんですけど、今回は2回勝てばもう1回花巻東と戦う可能性があるので。みんな気持ちが入ってきています。
ー 石橋監督はどういった監督ですか?
藤田:普段の学校生活や練習の前は凄く面白い先生です。ですが、練習が始まると厳しいところもあります。指導にメリハリがあり集中して野球に取り組めています。
ー 憧れてる選手はいますか?
藤田:守備では西武の源田選手の動きがすごく綺麗で憧れています。人としては高橋脩さん(盛岡誠桜3年エース)のように、後輩想いの選手になりたいなと思います。
コミュニケーションを大切に熱心な指導を行う石橋監督。選手たちの口からも、厳しいだけでなく、メリハリのある練習ができているとの声があった。春から1年生も加わり、新たな盛岡誠桜野球部として日々歩み続けている。