澤田 : 金沢監督長いことずっとやってきましたけど、監督しての苦労、監督としての悩み、色々あると思うんですけど、一番これがやっぱきついですねみたいなことは。っていうのは、働き方改革じゃないですけど、多くの高校野球の指導者います。
ということは中学校の指導者も、悩みながらもがきながら、時間との戦いの中で生きています。
そんな中で金沢監督は、どんなところを悩んだり苦しんだり困ったりするんですか?
金沢 : 今も昔もよく聞かれるのは、今の子供ら教える大変でしょって。
よく違う方面の方々に言われたりしますけど、僕自体は今も昔も全然子供ってのは変わってないなと。
それを取り巻く環境が変わっているのであって、子供自体は大げさに言うと真っ白いまだキャンバスのままで。
それをどうやって色付けしていって、一つの大人としての形にしていくかっていうのは今も昔も変わってないと僕は思うんですけども、ただ環境が変わってきただけに、今まで以上に手間と暇と時間をかけて一人ひとりに接していかなきゃいけないなってのはすごい感じますね。
だからそれをすごく大事にしてます。向き合う時間を大事にして。前までだったらおいコラで済んでたものを、なぜそういうことになるんだっていうところから入って、説明をしていくような指導方法になってきて。
一番そういった中で困る、防ぎたいのは、せっかく本校にきてね、我々とこうやって出会って。
よく子供らにいわれるんですけど、奇跡的な出会いをしているわけだから、途中で辞めて転校したりだとか、野球を断念するっていう子も少ないですけども、年に一人とか二人とかいたりするんですね。
面白いもんで幸い、去年は、春夏出たチームは38名で入ってきて、38名卒業していったと。
それが一番私の喜びであって、やっぱりやめないように、途中で断念しないように。
断念する子達を見たときに自分の指導方法で至らない点がなんだったのかなということは、考えるようにしているし、今でも一つの課題だという風に思ってますけどね。
とにかく長く野球をやらせたい。僕の恩師の監督とか、伊藤監督とかがね、補欠を作るなっていつも言ってましたよね。
いかに補欠を作らないで最後まで野球をやりきることの素晴らしさということを教えることが未だに最大のテーマかなっていう感じがしますけどね。
澤田 : ずっとそういうね、生徒のためにということで、基本は、喜ばしたいと。
大人社会に出たときに中心選手になってほしいと、野球の大変さも学びながらどんな困難でも克服できるようにというようなことで指導なさってるんですもんね。
金沢 : あくまでも高校野球って通過点ですし、僕も金沢監督にとって野球って何ですかと聞かれることがあるんですけど。
中にはね、人生そのものだとかそうやっていう方もいますけども、僕はあくまでもツールの一つであって、アイテムの一つであるから。
野球という一つの道具。僕だからよく子供らによくワンピースっていう漫画に例えて、ルフィはゴムゴムの実だとかっていって、あれで世界を治めるんだ、悪をなくしていくんだみたいなね。
一人には必ず自分に長所があってそれを活かしていくっていうものが、その中で人生切り開いていくっていうのがワンピースの中に俺は込められてると思うんですけど。
まさに僕ら野球人っていうのはそうじゃないかなと。
だからうちに来る子供たちも、野球っていうアイテム、ツールをつかって人生を切り開いていく。
だから野球というアイテムもあれば、人間として、人間性としてのアイテムがあってそのアイテムが多ければ多いほどやはり人生切り開いて行くと思うんで。
高校三年間通じて、野球以外のアイテムをどうやって身に着けるか。野球というアイテムをさらに磨いて行って同時に切り開けるようにしていくかと。
そうやって考えたら坂本勇人なんかはまさに野球っていうアイテムを使って人生切り開いた中の一人ではないかなと、あんなやんちゃな子があそこまで行くわけですから。